エヴァ破2回目視聴覚え書き

新宿バルト9で再視聴。今度は仕事のノリでなるべく客観的に分析して観てみた。といっても仕事で2時間なんて尺の作品やったことないから正しい判断なのかわからん。全体の尺長にあった法則ってのがあるだろうからな。それに綾波特攻のあたりでうっかりなんだかわからんがマジ泣きした俺気持ち悪い。2度目となると全然違う所でぐっとくるのが面白かった。
・やはり序と同じ、総集編的な性急なテンポ。しかしそのテンポ感はがっちり一貫している。深く考えさせないでどんどん前に進む感覚。しかしカットあと2、3足して、全体の間をほんのすこしづつ足して合計5分くらい足せば大分浸れるノリに一変するんじゃないだろうかと予想。せめてシンジ君がネルフから離れて電車に乗っている所を、緊急事態を知らせ「使徒だ」とシンジがつぶやく場面まであと1カット分ほど、TV版のような何も起こらない不安な間があれば全然違ったと思うんだけどな。
・今TV版が日テレで再放送中だが、今見返すと確かにものすごく静的な心理描写に重点を置いてて、その神経症具合、また完成度が尋常じゃないものだから今の新劇版は完全に別物という感じがする。確かに当時の動画の節約手法としてそうなったってのもあるかもしれないが、あくまでTV版を基本とするなら「こんなのエヴァじゃない!」っていう人の気持ちもわかる気がする。
・問題の「今日の日はさようなら」と「翼をください」のシーン。歌唱が始まる前の前奏に、それぞれあと8小節ほど前奏を追加するだけでだいぶ違和感がなくなるんじゃないだろうか。歌唱と絵の上での展開がきっちり合いすぎて、予定調和的な感じが強い。ここが今回2度目の視聴で一番強く感じた違和感。あまりにも話が上手くいきすぎている感じはここの影響が強い。伏線として狙っているのだとしたら何も言えません。
・話を前進させるため外部から来た異端として最初から認識していれば、マリについてはアリだと思えるようになった。
神経症的な反応かもしれないがシンジ君の都合のいい世界だなあという違和感がだんだん広がって来て最後は思い切り不安になってしまった。「自分のためにエヴァに乗りなさい」とミサトさんは言ったけど、「自分や世界のことなんかどうでもいい、綾波だけは!」なんていうのも、自暴自棄の一つではないのか。「人殺しするくらいなら死んだ方がマシだ」とだだをこねるのと結局何も変わっていない。
・「匂い」というワードが頻出するのが気になる。TV版でもあったことだが、新劇版で新しく出た部分は、マリがシンジの匂いを嗅いで「LCLの匂い」だと言う部分。まとめると「初号機の匂い」「母さんの匂い」「綾波の匂い」「シンジの匂い」「LCLの匂い」これらは近いものだという事になる。これらに共通するのはLCLが介在しているという点。LCLリリスの体液でできているとするなら、リリスの仮面の下は既に旧劇で融合した綾波の顔なんじゃなかろうか。(対抗として、シンジの顔とかw)妙にリリスの虚ろな顔のアップのカットに尺を使っているのも気になる。(性急なカット割りなのにここだけ思わせぶりにやや長い)
・ここからは大分飛躍した考えになるが、新劇で繰り返されるキーワードらしきものとして、綾波の「私はここでしか生きられない」という言葉。映像言語を単純に受け取れば、ネルフでのケアがなければ生きられないのだという事になるが、新劇の世界がシンジのループさせている閉じた世界で、シンジはここを出ることが出来るかもしれないが(エヴァに乗らないという世界?)、綾波はこのシンジの願ったの世界にしか存在できないのだという解釈も出来る。そこで破の最後、シンジは綾波を救い溶け合ってしまったものとみられるが、綾波がシンジの願望の産物なのだとしたら、これは一種の幼児退行なのではないか…?(TV版でも初号機のLCLの中にとけ込んでしまう胎内回帰願望なエピソードはあったな)そりゃ確かにカヲル君が止めなきゃBAD ENDと言っていい。
・ここまで考えて、「序」「破」は本当にシンジの都合のいい妄想の世界(一部異分子がまじってるけど)なんじゃないだろうかという疑惑がどんどん自分の中ででかくなってきたわけで、ますます不安になって来たぜ…