旅の記憶

旅行は…いってきましたね。目論み通り、東京〜大阪〜高松〜松山〜鳥羽〜東京と、普通電車に揺られて、外を眺めたりウイスキーをちびりと飲ったりiPhoneでネットをしたり本を読んだりそして大抵は読みつかれて眠りに落ちたりをずっと繰り返していました。思えばそれがメインの旅行でした。あと気づいたら道中うどんを4杯頂いてました。松山駅のうどん立ち食いで入れてもらった宇和島のじゃこ天が一番美味しかったですけど!あれはいいものだ。ふくよかな揚げ油の甘さが、旨味の塊のようなじゃこの練りにしみわたって、まさに滋味溢るる!という具合。早速となりの売店でじゃこを10枚買い求め道中の糧に。ウイスキーのあてにもぴったりで良かったです。来そうでこない台風のせいで、海を観にいったにもかかわらず道中ほぼ曇りか雨と残念な空模様同様、いくぶん、いやかなり、常に欝が支配しつづけていた旅行でしたが、旅の後半、大阪のインターネットカフェに泊まった時、朦朧とした気分でなんとなく手に取った五十嵐大介の「海獣の子供」があまりに強烈な傑作で、それは恐らく前後に観て回った水族館や暗い海の印象との相乗効果でもあると思うのですが、記憶の中で大変大きな存在感を、放っております。また本作のタイトル通り、作中でも印象的に出てくるジュゴンを、最後に行った鳥羽水族館で観たときには、「こんな真っ白の殺風景な水槽でただ2頭、ぐるぐる泳ぎ続けながら彼等は何を考えているのだろう」と、なんとなく物悲しい思い出になりました。
雨のせいもあって日程を2日早く切り上げ、あとの4日間の休暇はずっと、家でひたすら眠っていました。旅行の記憶は、その間熟成されたように思います。