蛇と蜘蛛

寝る前に面白めの本を読むのはよくない あと知人の作ったCD初めて聴くのも。終わった後もああしたら こうしたらと頭が不必要なレベルでブンブン動き出してしまいに布団の中で歌い出す(AM5:00)ので不眠症になる。昨晩はジミヘン特集の昔のムック本を読了したのがまずかった。頭の中が極彩色の煙たい渦を巻いている。

時々唐突に頭の中で所構わず反復し出す謎単語の一つに「即死判定」というのがある。給湯室から戻ってコーヒーを左手にさっと椅子に腰掛ける瞬間に即死判定。会社から戻って冷御飯をレンジにかけてぼんやりしているその時即死判定。よっぽど気に入っているんだろう。

以前からこれは凄いと噂には聞いていたTVアニメ「NARUTO」の第三十話「蘇れ写輪眼! 必殺・火遁龍火の術!」の回をレンタルして観る。この作品を全然今まで観た事がないのだがそういう話のわからなさが全然問題にならない位(※原作漫画はたまに読んでいる)とにかく作画・演出が凄い。冒頭から準主役の忍者サスケと所謂大ボスである大蛇丸の忍術を駆使した対決がこの回の半分近くにも渡って展開されるのだが 萌えアニメのとにかく止め絵が綺麗で線が多い綺麗さとは対極の 躍動感のある動きに最重点を置いたシンプルな線の実に生き生きとしている様に感動する。原作から特徴的な 視点がどんどん変化しながら360°全方向に展開する常人離れした戦いを 大人と子供の動きの差を考慮しながら描くというのは凄まじく難しい。こんな事が長尺に渡ってしっかり出来ているのを観るのは初めてだ。そしてそれがしっかり出来ているからこそ 火遁の術なんていう下手をすると非現実的でどうでもよくなってしまうような技が繰り出された時も現実味を感じておおっと驚かされる。しかし本当にどのカットも構図がしっかりしていて格好良い…実写映画にこういう感じの物があったかな?大蛇丸が頭から地面に叩きつけられて下半身が脱力するカットなどは一歩間違えると間抜けな絵なのに引いた画面で妙な生々しさで描かれているのでゾッとさせられる。 後半のアンコと大蛇丸の対決も素晴らしくまさにお腹一杯。とどめに驚いたのは絵コンテ・原画含めたった3人でやっているという事。絶対これは記録に残る作品だ。もっと早く観て置けば良かった。他の回もあとで観たのだがそっちは至って普通のグダグダな出来でいかにこの回だけ異様に突出しているかが解る。アニメを観るというレベルではなく洗練された動きの表現や演出という点で力一杯お勧め。ちなみにちょっとググると詳細に解説したサイトが出てきたりして…しかし忍者物はアニメに良く映えるなあ

暇だったのでついでに借りてきたスパイダーマン2を観る。1は予想外に脚本が良くできていて丁寧な作りだったから期待していたのだが大分肩透かし。役者は良い演技をしていたように思うがグダグダと切ない恋愛模様という奴に固執しすぎていてすっきりしない。ただスパイダーマンことピーターの 普通の人間でありたいのに特殊能力を持ってしまったが故 悪を見過ごしておけないという苦悩に時間をかけて説得力ももたせているのは好感が持てた(結構これがおざなりになっている作品は多い)。ちゃんと電車の乗客に助けられるシーンでそれに対する一応の解答が控えめに美しく描かれているのも上手い。あちこちで古いアクションホラー映画の構図が多用されていてニヤニヤしてしまうサービスも良し。でもなんか全体的に薄味ですっきりしないんだよな…。悪役にパワーが無さ過ぎるせいか。ギミック自体はすごい美味しいのに生かし切れてないのは1の時と同じ問題点かも。