情動のままにサボり 衝動のままに復活

また随分と書くのをサボったなあ…
チャットでもメッセでもここのダイアリーでも 基本的に日常はずっとローテンションな人間が文章を書き出すと 途端に別人といえる程のハイテンションになる訳で 要するに精神的になんかもう本当に弱り果てた時にこの手の対話する相手がいないフリーテキストはもう書く事を想像するだけで疲れきってうんざりする。
そんな状態がこの二週間程ずっと続いていたのだが 先程それを突如としてぶちやぶる切っ掛けがあらわれた。そういうものは大抵新しく耳にする音楽だ。憂鬱だと何を見聞きしても感情がわかないものだが ごく稀に 例外もあるという事。
この日(4日)MUSIC AIRという音楽チャンネルでやっていたJean-Michel Pilc Trio というジャズトリオのニッティングファクトリーでのライブ。名前の通りジャン・ミッシェル・ピルクというフランス人のピアニストが率いているのだが まずとにかくテンションが高く聴いていると堪え難い程の高揚感に圧倒される。音数が多くせわし無くそれでいて繊細に計算されているのだが心の赴くままに、ウッドベースもドラムも三人共実に素晴らしい技術で こんなことは滅多に感じないのだが聴き終わったあとに清清しい「驚き」を感じた。似ている音といえば私の少ないジャズの知識では冷たい水のような透明感や細かく刻んで疾走する感覚が山下洋輔トリオを思い出すが、こちらはもっと和音の響きや三人のからみかたに計算を感じる。アマゾンでこのトリオのアルバムの試聴をする限りではその計算された感じがとても強くて好きになれるかわからないのだが とにかくこのライブは良かった。覚えておくか。
前々回あたりに述べていたように最近はたまっていたDVDを消化する日々。しかしここのところテンションが恐ろしく低かったのでちゃんとした評価が出来て無いかもしれない。それでもロード・オブ・ザ・リング王の帰還SEEは素晴らしかった。映画版よりずっとずっとずっと良い!前にも述べたように前作までのSEEにも感じていた寸足らず感がこれには全く無い事だけでも満足。ただサルマンの登場するシーンはなんかちょっと冗長だけどね…演技は皆良いし(特にセオデン王が良い)原作読者として絶対外して欲しく無かったあのサルマンの死もなんとかアレンジして入れた心意気も買うけど。ちなみにこのシーンが入った為に ピピンが何故パランティアに執着したのかの解釈が劇場版と変わってくるのが興味深い。劇場版では単に水の中に落ちていたパランティアを何なのか知らずに拾うので理解しがたい好奇心と魔力がそうさせたのだと想像するだけだが その前にこのサルマンのシーンが入るとあらかじめこの石の用途をピピンが知っていた事になるわけで 自分の住んでいた村の事やフロドやサムの行方が気になって近付いたのではという解釈に変化する。こっちが多分本来の意図なのだろう。
後は…開き直ったガンダルフが執政をぶん殴ったり火の中に突き落としたりゴンドールを乗っ取る勢いだなあという劇場版からあった違和感くらいか。いやあしかしペレンノール野の戦いは人がゴミのようだな…そしてオーク達はゴミというか塵のようで泣けて来る。メイキングも相変わらず8時間と長い割にはあっという間で面白い話が満載である。特に膝を打ったのは冒頭のスメアゴルとデアゴルのシーンはスメアゴル=ゴラムことアンディ・サーキス自ら監督をしている部分がある事。まるで自主映画を作っているノリのようだが ここで初めて昔のスメアゴルとして「出演」出来たサーキスの魅力的な演技に見とれてしまった所なのであの演技は単なる直感だけではなく深い考察や計算に裏打ちされたものがあるのだと納得してしまった。

この季節は焼き菓子にチョコレートが一番美味しい季節だと思う。納品で出かけた途中 表参道の近くに名店と噂に聞きしピエール・エルメの立派な店鋪が出来ていて早速手始めにガトーショコラっぽいモワルー・モガドールというチョコレート菓子のパッションフルーツ味三コ入り1000円を購入。直径5cm高さ4cm足らずの小さなものだが実に濃厚でそれでいて時折思い出したように割り込んでくるパッションフルーツの瑞々しい酸味のピークが後味を上手くコントロールしている。小さくても1つ食べたら満足。小振りのケーキ1つ食べたような感覚だ。高級ショコラティエでボンボン1つが300円程度が相場なのを考えたらちゃんと割に合う。次回は是非、ぜひあの華麗なデザインのケーキ群に手をつけていきたい。特にあのミルフィーユ!あんなゴツくていかにも旨そうなパイ生地見た事ないぜ…それにあのチョコレートケーキの奇抜なデザインやいかにも濃厚で期待を裏切らなさそうな色といったら…ウヒヒヒ。