マーブル

渋谷の東急ハンズクロッキー帳を買いにいったら 画材売り場で視界の隅に気を惹く鮮やかなパターンが一瞬映って振り返る。
な、なんだこれはー!!すごい綺麗だ!とディスプレイの説明を読むとマーブルペーパーらしい。日本でいう墨流しという奴のヨーロッパ版である。特殊な水溶液の上に絵の具を流して出来た模様を紙に吸い取らせて作るという子供の頃学校でやった人もいるかもしれないアレだ。下品な色使いでとりあえず変な模様を作るかみたいな素人物なら見た事があるが 職人の手による物はこんなに美しかったのだ。昔どっかのテレビ番組でこういったイタリアのマーブルペーパー職人が紹介されていて その時はこんな物にも価値ってあったりするんだな位にしか思っていなかったのだが実物は全然違う!テレビのせいぜい横640ピクセルしかないような画像で観るのと別物なのだ。具体的にどう一番違うのかというと 本物には解像度が存在しない という事 笑
なんか冗談みたいに思える事だが 実物を見れば納得出来ると思う。パソコンの74dpiの解像度は論外として、世の中の印刷物という奴の殆どはスクリーン線数という単位の解像度や印刷機の性能なんかに支配されて どんなに高精細な印刷でも必ず細いラインやエッジのはっきり具合に限界がある。しかしこのマーブル技法に当然そんな物は無く 解像度が存在しない事を誇示するかのように 水面に流れる絵の具を櫛で梳いて生まれる極細のラインはどこまでもシャープに写る。言葉で言ってもあまり実感できないかも知れないが 普段からデジタル加工を経由した物に埋もれている自分には目眩のする圧倒的な存在感なのである。はあつまんないよデジタル。たまに絵画展にいった時も近い衝撃を受けるが ここまで低解像度に慣らされてる事を思い知る事はなかなかない。
今回売り場に出ていたのはコッカレルという会社の製品を輸入したもので ここで取り扱っているらしい http://www.pcmtakeo.com
ここの物はまだシンプルなものばかりなのだが(もちろんシンプル故の美がある) 歴史があるだけに色々なものが存在するようだ。ああ欲しいなー せめて実物の一級品を沢山見たい。芸術品です。
マーブルペーパーの解説
http://yushodo.co.jp/showroom/magnifying/marb.html

追記

日本の墨流しにもいろいろあるらしい。下記のサイトに中々良い作品が。ここでは古来の墨流しから発展させた水紋画という技術らしい。
ただ…作品に具体的なタイトルはつけない方が良いと思うのだが…自由に見立てが出来る所が墨流しの良さではないだろうか
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kuroda/