http://yokohamatriennale.jp/
先週末に横浜トリエンナーレ行ってきた。天気が素晴らしくよかったし、こういう建物から建物へ、歩き回っていろいろ観て回るのは大好き。体を動かして何かを観る、というのはただ目を動かすだけより脳への吸収度合いが違うと思う。特に解説も読まずに観て回ったからよくわかんないのが多かったけど、普段であわないような、色々な人の熟考した結果を聴かせてもらった感じで充実した時間だった。現代美術はウケ狙いすぎとか、自己完結しすぎとか、インパクト勝負に走ったりとか、そういう馬鹿っぽさも含めぐるんぐるんと頭の中をかきまわされるので好きだな。赤レンガ倉庫の展示会場で、いい感じの音楽が流れている。と思ったら映像資料としてタージマハール旅行団の記録ビデオが流れていた。評判だけは聞いていて、この間の旅行中に読んだジュリアン・コープの「ジャップロック・サンプラー」(70年代前後の日本のサイケを扱った怪しいドキュメンタリー本)を読んだばかりで、タージマハール旅行団のことはまるまる1章割かれていて興味をもっていたのでラッキーだった。あとここの会場は灰野敬二の出展もありましたね。躓き続けているようなサンプラーのリズムにノイズを重ねて演奏しているビデオでした。演奏時間が掲示されてなかったので(多分)出だしっぽいところから聴いていたら気がついたら1時間くらいたっていたwハイビジョン映像でみる灰野さんってのがなんか新鮮だったな。ちゃんとした演奏は生でしかみたことないので。今回のトリエンナーレのテーマは「タイムクレヴァス」ということで、長時間にもかかわらず常にビートの連続性を拒絶するような演奏を聴きながら、いろいろ考えました。
この日見て回ったのは赤レンガ倉庫と、メインの新港ピアと、日本郵船倉庫の3つ。他にもいくつか会場はあるんだけど、時間が足りず。もっと遅くまでやってくれてもいいのに。で、夜になったら丸ごとパーティー会場になれば素敵なんだけどな!イベント全体がすごいそっけなくて、広い会場に、ごろん、と作品がほっとかれてるような感じが多かったことについてはなんか色々サポートがなってない!とか批判が出てるみたいだけど、ほっておかれたい俺にはちょうどいい素っ気無さで疲れにくくてよかった。ビエンナーレみたいな形式のものを見に行くのが初めてだからってせいもあるけど。
しかしあれなー、日本郵船のヘルマン・ニッチェの作品なー。俺ものすごく好きなんだけどああいうの、ホドロフスキーのエル・トポみたいに、神性をスプラッターで表現するっていう考え方を凄まじいスケールと熱意で具体化させちゃったようなもの。キリスト教の儀式と動物を屠殺して祀る儀式を合体させて、ソフィスティケートされて形式化された宗教儀式本来の意味を掘り起こして衆人のもとに露出させる試み(多分)。祭壇、解体される牛、臓物、血、それらと一体になった磔の男女、戦車、なんという壮大な。俺の長年の妄想の一角をそのまんま具現化してくれたみたいでもう本当最高なんだけど、これ殺されてもおかしかないくらい問題作で、見ようによってはものすごく安っぽい考えの作品で、(マリリンマンソンみたいな感じでエログロともっともらしい哲学を組み合わせればよく売れるよね、みたいな)でも一体今日の展示の中にこのくらいパワーと万人に訴える判りやすさと考えさせる所のある作品がいくつあんの?っていわれると、やっぱり大したものなんじゃないかなって思うわけで、テレビなんかには絶対放送できない、迂闊に衆目にさらせないようなものを作ったっていうだけで価値があるっていうか…でもやっぱり反則だと思います!w しかしあの中に、参加してみたかった!参加した人の話をきいてみたい。

追記:ヘルマン・ニッチェのこの祭祀パフォーマンス、UBUWEBって現代アート関連のアーカイブサイトで過去のものが見れるみたいです。(このサイト自体もすごいですね!)それから、今回のトリエンナーレの展示の方が祭祀自体の規模、洗練度合い、展示自体の質(これは当たり前)、映像のクオリティ共に格段に上でより意味を純粋に受け取れると思いますけどね。でも本当に本当に、感受性の高すぎる人でショック映像が苦手な人は観ないように!