ONJO

転職してから1月がすぎ ようやく
表層的な緊張→狂躁的なハイテンション→不眠→鬱 という
決まりサイクルが終了して一息つく。予想より早めに落ち着いたので
この先もなんとかしばらくはやっていけそうな予感。職場の人達は概ね
人間関係を上手くやっていく事に努力している風でそれが多少戸惑うも新鮮である。
仕事が充実してくると嬉しいのは 脳の働きが活性化してくる訳で
聴覚の解像度も増して来るという特典があること。
さすがに無職の頃のように日がな一日スピーカーの前で聴き耽る事ができなくても
充分楽しくやっていけている。
ただ仕事の終わる時間が予測しづらくライブに行く回数はさすがに減らざるをえないのは残念。

2/8 新宿PITINN 「ONJO Japan Tour 2006」

初のONJOライブ。未だに良く聴く1stアルバムの精緻な音にくらべてライブではどうなっているのか予想がつかない。
会社の上司には正攻法で説明してなんとか開場前に到着。立ち見ではあるが良いポジションを占める事に成功する。
開演は8時過ぎ。客席から大きな声が飛ぶ。照れ笑いしつつも困り顔半分の大友氏曰く、ジャズ研時代にエリック・ドルフィーを聴かせてくれた先輩と昔のバンド仲間が来ているのだとか。前半の部の曲目はそのエリック・ドルフィーのアルバム「OUT TU LUNCH」からいくつかとカヒミ・カリイの曲。後半は以前大友氏が手がけたクライマーズ・ハイというNHKのドラマのサントラからいくつかと、カヒミとの曲、そしてOUT TO LUNCHの表題曲からカヒミの曲へとなだれ込み、何故か最後はOUT TO LUNCHの主題に戻るという力技で終了。アンコールは恒例らしいEUREKA、あと確かクライマーズハイから1曲。
ONJOの最新作であるOUT TO LUNCHのカヴァーアルバムは未聴なのでまったくそのアレンジに意表をつかされる。面白い。ジャズはプレイヤー達が共通の音楽文法をしっかり理解しているが故に 原曲をリアルタイムで自由に解体・再構築出来るのが醍醐味の一つだ。しかしそれがサイン波やノイズギターやSE音のようなものまで加わった編成でやられると 全く予想外の風景が見えて来る。
それでいて、元曲の持つフレーズの魅力やスリリングで暗闇のように力強い探求心をあまり損なっておらず まるで新たな側面からドルフィーのアルバムを照らし出したようで ますますこの原曲達が理解出来て好きになったようにすら感じられた。
演奏技術自体はさすがに本家に比するものでは無いし 特に前半の部では所々散漫な所が見受けられたが 安定して素晴らしいのは水谷浩章コントラバス。そして時折しか主張しない大友氏のギターも初めて生でちゃんと聴いたがその度心を鷲づかみにされた。特にノイズギターは久々に呼吸困難に陥りそうな程素晴らしかった。ドラムの芳垣氏はDCPRGROVOで散々聴いているせいもあるだろうが どうも流暢すぎて少し全体の音色に合っていないように感じられるのが気になったところ。あとカヒミ曲はそこまで沢山やらなくてもいいと思った。やはり良いアクセントではあるのだけれども。あとサイン波はやはり良いものだ。
終演は11時を少し過ぎた位だったと思う。間に15分程休憩を挟んだのみで まさかこれほど長いライブになるとは予想していなかった。9時半くらいに会社に戻れるかななどと予想していたら全然甘かった 笑 今回のツアーは全てライブレコーディングをしているらしく選りすぐってライブ盤を出すとの事。でも出来たら、カメラもちゃんと回してDVDを出して欲しいなあ。大人数フリージャズには 団員のぶつかりあう強烈な意思が 指揮者によってある方向へ収束されていく様に非常なスリルがあって やはりそういうのは映像として記録されるべきだと思う。