MAGMAのライブ行って来た

http://smash-jpn.com/magma.html
いやもう良かったな! 満足したあまりしばらく何の音楽も聴く気がなくなってしまった程。
1日目はフル編成での通常MAGMA、2日目はMAGMAの骨格に迫る内容で2部にわかれ、前半は歌とピアノ、後半はそれを除いたドラムとギター、ベース、ピアノ、キーボードの編成。もちろん彼らのライブを実際に観た事なんてなかったし、70年代の作品を数枚聴いていただけで、なにせそんな時代から活動していて リーダーのクリスチャン・ヴァンデしか当時のオリジナルメンバーが残っていない状態で 一体2005年の現在どれほどのものなんだろう…?と思っていたのですが。いやはや物凄いクオリティーでした。
内容の詳細は色んな曲が融合してさらにアレンジされているようなので他サイトの詳しい感想を読んだ方が益かと存じますが 笑
クリスチャン・ヴァンデががっちり正確に力強く他の若いメンバーをドラムで牽引していくのを観て身震いし、自ら歌うパートになればその場で立って体全体からひねり出すような素晴らしい歌唱。おおお。ひさしぶりに良い歌声を聴きました。こういう正しい発声を強く心がけている人はあまり見ないので新鮮だ。あの姿勢の良さは正にオペラ歌手のもの。手の振りとかをみていると無意識かどうか知らないが 声のピッチが下がらないように、正確な音程で、最高の表現力で歌おうと全神経を傾注しているのがわかる。70年代のような張りのある声はさすがに出なくてハスキー気味ではあるものの表現力は遜色なく、年老いたが故か深みのある枯れた味があってオペラで名バリトンが朗々と歌うように奇天烈なシャンソンを歌うというか(意味不明) とにかくこんなヴォーカルは生で聴いた事ない。もっと聴いていたかったな。他のメンバーもボーカル隊も良かったなあ…とにかく完成度が高い。さすがにヴァンデにくらべると地味だが食らいついて来るギターとベース(特にベース)も良い。とにかく中央に居座るヴァンデがちょっとでも手を抜いたらタダではおかないぞゴルァというような強烈なオーラを発していてライブ中常に緊張感をヒリヒリと感じた。 どう表現したらいいのかな…ただピッタリ揃っているだけでなく、圧倒的な情熱と表現力。それに編曲がすごく良い。
聴いた事のある曲など70年代当時のアルバムより良いと感じる。安直にその技術力でただ気持ちよくトランシーだったりアッパーな方向に持っていくのではなく(最近そういうの多すぎ) クラシックを聴いているような丁寧な構成で 歌はスキャットのような発音の独自に考案されたコバイア語でびっちり揃った美しいコーラスを聴かせるし、ジャズのような要素もあるし 和声も丁寧に考えられていて(これがとても気持ちがよかった。最近無調気味の音楽ばかり聴いていたせいもあるけど 今のロックやポップスは和声の心地よさが軽視されてる気がするので。主旋律だけあればあとはキメ部分以外適当にあわせとけみたいな) 要するにまるでロックを聴いている気がしない 笑 かといって何を聴いているんだといえばMAGMAを聴いているとしか言いようがないのかも…それともプログレってこれが標準? なわけないよな… もしそうだとしたら今年までそんな音楽に気づかなかった俺は豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ。強いていうなら一番近いのがオペラかもしれない。ただし、非常にスリリングな。
そんな訳で非常に感動していたのだが、実は1日目の時は、フランス人のライブを観に行く事がめったに無かった事もあって音に少し壁のようなものも感じていた。日本人の音楽にはジャンルを超えた日本人独特の雰囲気があるように(日本人の音楽には雅楽浪曲の無調で固定の拍子もない独特の感覚、そして軟水のように消化に優しい清冽さが潜在的にあると思う。時空に連続性が無いというかその一瞬に永続性があるというか表面上スローでもBPMは物凄く速く且つ同時に0であるというか…意味不明)フランス人にも独特の色があって、食べ物も水も全然違うんだろうなあという主張の強さ。完全にそれに馴染めたのは2日目からだった。ううむ逆の日程で聴きたかった。6人のコーラスと時に独唱、そして伴奏のピアノだけという第一部の構成は、ボーカルのステラがこれがMAGMAの基本なのです、というような事を言っていたが 確かに1時間以上ずっとこの編成でも飽きず、前の日のフル編成MAGMAより音が足りない気にさせなかった。第2部の楽器のみのMAGMAもすごかったなあ…もう一回観たい…ああああ しかしはや齢60前のヴァンデ氏はさすがに2時間半あまりのライブが終わった時には顔に死相が出てた。おもわずおじいちゃんもう休んで!頑張り過ぎだから!という気持ちで一杯になりアンコールする気になれなかった…