いくつかCDレビュー

また最近買って面白かったCDをいくつか紹介。他にももっと紹介したいものはあるのだが如何せん小学校の時から感想文に苦戦してきた人間なので無理。もっとじっくり1枚1枚聴き込みたいから来月はCDを買わないで済みたいものだなあ(詠嘆)

Slow Messe

Slow Messe

iTMSで偶然見つけて試聴すると即気に入ったのでCD購入。iTMSの試聴は音質がアマゾンより遥かに良い上に聴き勝手も良いので凶悪だ。Molassesというバンドがどういう人達なのか知らないがカナダのポストロックバンドGodspeed You! Black Empelorの人も参加している…らしい。サイケっぽいのんびりしたフォークソングのトラック(轟音ポストロックだったりフリーインプロな所もあるがあくまでボーカルはフォーク)とゴォオオオオンン…キィイイイイイ…という金属的な雰囲気の 憂鬱に寛げる素敵サウンドスケープのトラックがコラージュのように入れ替わり立ち替わり。このサウンドスケープのセンスがとても良くて 洗練されつつ投げっぱなし感もあり 生け花のような趣き。長くお付き合いしそうな作品。ちょっとシガーロスを連想する。公式サイト→http://www.alien8recordings.com/molasses.php3

拘束のドローイング9 サウンドトラック

拘束のドローイング9 サウンドトラック

旦那様であらせられる所の彫刻家 マシュー・バーニーの映像プロジェクト「拘束のドローイング9」の為にビョーク自ら手がけたサウンドトラック。前作のメダラは作り方やコンセプトは面白いしハイクオリティだとは思うが 正直自分には重すぎて聴いてて疲れてしまった。気合いが入り過ぎというか 波長の完全に合う人以外とは口を聞いてくれなさそうな印象。しかし今作では 内容的にはメダラの手法を大きく受け継ぎつつも大分肩の力を抜いた感じで 剥き出しの象徴に溢れたバーニーの世界のただ1ピースであろうという意識か 風通しは大分良くて好きだ。彼女のボーカルが入るのはわずかだが インストだけでもビョークの魅力が全く損なわれないのが判る。拘束のドローイング9の舞台が日本というだけあって 和物の音が沢山使われているが 欧米の人から見て全く異質な音楽である笙の音や能楽の唄ってどう聴こえているんだろう? ちなみにこの拘束のドローイング9の写真は美術手帳の8月号が一番良い物集まってます。性が未分化のままゴテゴテしたマッチョに育ってしまったようなむず痒い感覚。ちなみにCDのbjorkと入っているラベルは フィールド・エンブレムといって「拘束のドローイング」や代表作「クレマスター」のシリーズ毎にそのコンセプトを凝縮させてデザインしているもの。CDではサントラ用に少しアレンジしてあるが 本来はBjorkの文字の代わりに 横の赤いバー両脇にそれぞれguest 分断された鯨の上下にhostという文字が書かれている。ここだけ見ても色々解釈できて面白い。
ビョークのサイトの紹介ページ→http://unit.bjork.com/specials/dr9/

ONJO-Otomo Yoshihide’s New Jazz Orchestra

ONJO-Otomo Yoshihide’s New Jazz Orchestra

水曜Wanted!の自分が聴き始める前の放送分をゴニョゴニョ…と拾って聴いていたら本作に収録されている曲がかかって あまりの素晴らしさに即CDの入手を決意。特に1曲目のジム・オルークユリイカのカヴァーは反則だと思う程に美しい。いや2曲目もいいな… ちょっと中毒になりそうだ。グシャグシャに崩れ溶けた それでいて完璧に統制のとれた 退廃的で ホワイトアウトした 瞳孔の拡散し切った 腐敗した 甘美な 沈黙の 騒音の 全能の 歓喜する 無で 全てで 静止した 無限の 年老いた 追憶の 狂気の 理性の 瞬間の 花の咲き乱れる 内蔵の零れ出る 血の味のする 鋭利な剃刀のような 上等なベルベットのような そういう音。聴く度に耳をフォーカスさせる部分が違うので全く飽きない。ジャンル的には大編成によるフリージャズ…なのか? しかしとっつきにくさは全く無し。所々ボーカルをとっているカヒミ・カリイはぶっちゃけ 完璧な「萌え声」でフレンチ・ポップという無敵にあざとい組み合わせ故手を出しかねていたのだが 窒息しそうな甘い声に実際聴いてみるとやっぱり完敗