5/3 「MAN DRIVE TRANCE SPECIAL vol.3」日比谷野外音楽堂

ROVOのライブはフェスに行く度観ているのではや5度目。今回初めてROVO主宰のイベントに行った事になる。
天気は申し分のない晴れ。開演時間の4時までは暑くて屋台でビールでも飲もうと思ったら900円のボッタクリ価格。外で前もって買ってこなかった事を後悔する。まあたかだか3000人集まるイベントに出張してくるテキ屋にしてみたら適正価格なのかもしれないが。しかし焼きそばの潔いまでの具の無さと、それをカバーしてあまりあるようなパックの限界に挑戦する大盛りには笑わしてもらう。
今日のチケットは数日前には完売していた様で当日券も無し。チケット売ってくださいの紙を掲げた必死な人をそこら中でみかける。…だけど別に発売初日で無くなった訳でもないしどうしてもっと早く買っておかないのかな?ネットに接続する手段の無い人とかなんだろうか。
七尾旅人
ファーストアルバムを持っていて以前から興味はあったもののライブはこれが初見。昔の屈折した繊細な少年ぽいイメージと違ってなんか健康的に日焼けしたそれでも表情は屈折気味の兄さん。違和感が 笑 広いステージの真ん中に小さいテーブルをしつらえて机上にはノートPCとマイクとあと多分エフェクターとか。最初はマイク1本とエフェクターで、強くエコーをかけた自分の声を追いかけるように重ねていくアカペラ。時々空にむかって首をかしげるような仕草が独特で雰囲気がある。続いてサポートの2人が登場。さっき調べた所、打楽器はくるりのサポートもしていた気がする臺太郎、鍵盤は宇田隆。打楽器は主に大きな陶器の壷を抱えてひんやりした音を叩き出す。非常に気持ちがよい。次にボブマーリーの声をサンプリングした「生の申し子」という曲。この人はサンプリングネタの使い方がすごくどきっとする入り方でなんか他のアーティストにあまり無い感じがする。上手いのか、天然の動物的勘なのか、とにかく大胆でぐっと来るのだ。最後に踊れる曲をという事で「キマイラ」。PCから出すトライバルなミニマルにマイクでMCを重ねて行く。七尾氏自身の歌はすごくいいと思ったけどミニマルのトラック自体はあまりちゃんと作られてないループ垂れ流しという感じで今ひとつだった。こういう味気のないトラックよりはその前のドラムンベースの方がずっといいな。ROVOファンで踊りにきた客が多くて意識したのだろうか。ところでこの人がこんなに流暢に喋り倒す人だなんて想像もしてなかったのでそれが衝撃的だった…しかもすごいダメ人間テイストで…
Polaris
ポラリスのファンもこの日は結構いたのかな。耳障りの良い、5月頭の野音の昼下がりに丁度相応しいような心地よい演奏だったけど、自分にはちょっと守備範囲外だと思った。七尾氏みたいな音と歌の境目が曖昧な感覚の歌はとても聴きたいけど、具体的な定められた歌詞が音より前に出がちな歌にはあまり興味が無い。心の余裕が無いのか?
・レイハラカミ
ライブを観るのはとても久しぶり。4度目位?5月末にようやくアルバムが出るようで楽しみだ。この日のライブは相変わらずのハラカミ節で心地よいけどちょっと展開に飽きる所があった。聴きすぎてるって事もあるのかな?またあちこちでライブをたくさんやってこなれてきてもっと良くなるのかも。ハラカミ氏も次がROVOという事を意識して4つ打ちのダンスミュージックを披露。でもこれは少し余計だったと思う。客席は大いに湧いてたので良かったのかもしれないがなんかやっつけっぽかったんだよな。
ROVO
キーボードの中西氏が脱退して6人編成になってから初めて聴く事になるのでちょっと緊張。最初から飛ばす飛ばす。キーボードが一人減ったから同じくキーボードの益子氏が単純に2倍頑張るという訳でもないらしく、全体的により硬質なロック的要素が強くなっている印象を受ける。あとベースの音が大きすぎて山本精一氏のギターが埋もれがちなのが残念。でもこういう印象は観客の立ち位置によって全然違うのであんまりアテにならないかも。単に野音のステージがコンクリだから硬く聴こえるというのもある。でも確かに、ばらばらな音がどんどん揃っていって美しい一塊になるという従来のパターンから、ばらばらな音は一瞬合ったりするけどやっぱり混沌としたままぶつかりあい干渉しながらピークへ達するという感じには変化したと思う。中西氏の抜けた後、穴を埋めるのではなくもっと新しい方向へ行こうとする力を感じる。これからどうなるんだろう? 新しい方向を模索している事は中盤、ボーカリストのYaeがゲストで参加したのにも伺える。それまでのアッパーな展開から一転、静かな青い照明の中で祝詞のようなゆったりとした歌声が響き、ROVOの音がそれに少しづつからみあってゆく。その辺りまではとても良かったのだが、どんどん曲調が激しくなっていくと バンドのテンションが非常に高くて野音の広い空間を駆け回りたくて仕方が無い大きなダイナミズムを持っているのに、Yae氏のマイペースな優しい声にもなんとか合わせようとするものだから力を抑えようとしてバタバタしているように感じられた。それに元々、勝井氏のバイオリンという凶悪な女性ボーカルがいるからな…あと自分は元々女性ボーカルは滅多に気に入らないのでそういうのもあると思う。女性は自分自分自分、女の物語を聴いてくれって感じで周りを見ないで楽器としての自覚が無い人が多い気がするから。まあそれは余談として。
でもとにかく、こういう試みをやってくれるのは嬉しい。ROVOというバンドの面々を見ていれば、このまま停滞する訳が無いのは当然だろうし 文句めいた事を書き連ねたがやっぱり楽しいライブではあった。次はフジロックでフィールドオブヘブンステージのトリらしい!楽しみだなあもう!