攻殻機動隊SAC 5巻(9、10話)

9話は非常に特殊な内容。
昔懐かしエヴァでいう所のNERV内のレポートという形での総集編にちょっと近い。
仮想空間内でのチャットで、笑い男事件について6人の男女が今までの事件を振り返って考察を巡らし、
それを更に沢山の人間が2chの実況スレっぽいノリでヲチして書き込んでいる、という内容。
1話分のうち、過去の事件の映像が資料として流れる以外は殆どこのチャットルーム内での会話シーンであるというのは
なんとなく昔の映画「12人の怒れる男」を思い出す。(この映画は本当面白い!)
もちろん制作側は意識しているだろう。脚本は佐藤大
自分の様に2chに入り浸っている人間にはかなり楽しめるだろうが、(又はこういう思考実験のような物が好きな人は)
攻殻をこの作品でしか知らなくて、ネットも使わないような人に楽しめる回であるかは疑問だ。

話の内容が進むにつれ、笑い男事件の内容というより、
笑い男という存在を生み出した原因を仄めかすような展開になってゆくのだが、
そもそもStand Alone Complexというこのシリーズの副題が重要なファクターになっているのではという事が初めて見えてくる。
(略してSACとは、電脳化された人間が外界の情報から隔離され、
スタンドアローン(孤立ね)状態でいつづけることに焦燥感を持つ状態を指すらしい。
これは電脳がなくても重度のネット中毒者なら誰でも分かる事かな)
ちなみにこの回の最後、進行役のオンバにクロマ姐さんこと素子が強制転送された先に見たもの、
深夜にヘッドフォンかつ暗い部屋で見てると妙に怖かったです。
その後朝までずっと思い出されて寝れなかった 笑


10話は映画ランボーとかでよくある、戦争で残酷な特殊任務を行った男が戦争の幻影に惑わされて犯罪を繰り返す話。
こっちはそもそも何故日本くんだりにアメリカの軍人が来ているのかとか、
男のトラウマが具体的にはどうなのかとか、説明不足で今いち入り込めなかった。
映画や犯罪小説でよくある話なんだから推して測れというのでは何か違うと思う。
バトーが残酷な犯罪を再び目前にして怒るのも無理ないけど、
もうすこしそこに至る心理を描いてもいいと思ったしな。