今日のビデオ

ここの対談を読んでたら急に観たくなったので借りてくる。
迷宮物件(1987年 30分)
押井 守の監督作品。もう随分昔だなあ。
これが出た当時私はようやく一般の人が認識する「アニメは所詮子供向け」
という認識から道を外れはじめた全くのド素人であり、
こういう実験性の高い一見地味なアニメが私の注意を惹く事は殆ど無かった。
辛うじて、一部のアニヲタの人がこれはすごい、と評価していた事と、
なにやら異端的な作品である事位は知っていたが、それだけだった。


舞台は日本のどこともしれぬ古いアパートの一室。
とある探偵が長い間調査してきた親子の住む部屋に入る機会を得る。
そこには眠っている子供と、ワープロに印刷待ちになっている自分宛ての手記があった。
その内容は、探偵自身すら巻き込む、恐るべき奇妙な物語であった…

とり・みきの短編を連想するような極端にシュールな短編。
自分の「存在」しているという拠り所が消滅する話は押井作品の共通しているテーマなんだろうか。
個人制作のショートフィルムが簡単に作れる今でこそこういった内面的な話は突飛な題材では無いが、
同時期に作られた作品の事を考えると異形の作品であるのだろう。
(ダーティーペア、グッドモーニング・アルテア、幻夢戦記レダ
…懐かしいな、OVA作品が増えだした頃だ)
加えて、スケールの大きい怪現象のぞっとする程精細な描写や、

いかにも子供らしい無邪気な所作、写真を加工して作った幻影のような背景など、
現在でも絵的にみるべき所は多いと思う。
構図等演出も、日常的な光景なのにちょっと背筋の寒くなるようなものが潜む感じが的確に出ていて良いです。
でも、最近CSでやってるうる星やつらの放送みてたら、
同じものが根底にある表現を既に散々やっていたようにも思えて
逆にこっちのが恐ろしくなってきたり。