第四回「英雄 動乱の都へ」

今回の紳助は喉の調子がわるいな…風邪っぽいですね。何本撮りなんでしょう。
さてここは安喜県。黄巾党が滅び寄る辺を無くした紳々・竜々は怪我を負った駄馬、白竜を名馬と偽り売っているのだが誰も相手にしない。仕方なく肉にするべしと殺そうとした所を止める男がいる。劉備である。「怪我をしているからといって殺すんじゃない!」おいおい。いつの時代の道徳観だ。徳の人劉備、この白竜を買い取ってしまう。で、この馬が実は妖怪なんですよねわかります(別作品やがな)
所変わって洛陽。ここでは皇帝の後継候補の2人の皇子を巡り、それぞれを支持する皇后、宦官、それに大将軍何進が激しく対立していた。ここの宮廷のシーンは密室での陰謀らしく、陰影を巧く使ったなかなか味わい深い絵が続いて非常に良い。しばらく屋外のゆるい構図のシーンが多かったのだが、こんどは息苦しいほど人に寄って見せるのも新鮮で良い。
先の戦の手柄で安喜県の一地方を治めていた劉備の元に都から視察がやってきた。賄賂を要求する督郵に劉備は空とぼけて放置。役人よりも馬の方が大事と馬小屋に籠って世話をしている。劉備「白竜、怪我が直ったら山に帰るんだぞ。」凄い。徳の人というよりもはや乙女マインド。さすが日本人的に正しい子供向け番組だ。放送当時は感激していたと思うが今の殺伐とした自分的には違和感が…
さてまるで賄賂を出す気がない事に怒った督郵は劉備達にぬれぎぬの罪をかぶせようとする。怒り狂った張飛は督郵を笞打ち、それを止めに入った劉備も督郵の腐りっぷりに腹を立ててぶん殴ってしまう。この、馬には優しい→暴れる張飛を止めに入る→話を聞くなり一緒になって殴る の流れが妙に面白い。結局関羽も含め大暴れしたあげく治めていた村を飛び出してしまう三人。これは演義でもおなじみのエピソードだが、絵で見てみるとこいつら随分フリーダムだよな…。
政治が腐敗しきっているのを身をもって知った劉備は、世を正す事を誓い都の洛陽に潜入する。宮殿で働く淑玲の協力を得、皇帝の遺書を預かる盧植先生が何進たちに狙われている所を助け出すが、ここでも敵であるはずの曹操に図らずも窮地を助けられてしまうのだった…

今回はなんか面白かったね。構図が変化に富んでいて絵的にも楽しめたし、なにより演義の話を飛び出して劉備達がヒーロー物みたいな快刀乱麻の活躍をするのが人形劇のフォーマットに合っていて面白かった。あとお約束でいう「敵だけどいい奴」ポジションな曹操とかね。いやこれらのノリはどっちかというと暴れん坊将軍とか、桃太郎侍みたいな時代劇のノリを意識したものだと思う。クレジットを見ていて気づいたが、今までの3話と脚本、演出ともに違うせいもあるだろう。

追記:脚本にクレジットされている小川英という方はwikipediaで調べてみると確かに刑事ドラマや剣客物、ヒーロー特撮の脚本を多く手がけておられる様だ。痛快なテンポの良さに納得。

<キャスト等>
出演…島田紳助松本竜介
声の出演…谷隼人劉備)、石橋蓮司関羽袁紹)、せんだみつお張飛、たぶん蹇碩
森本レオ何進、督郵)、伊佐山ひろ子(美芳)、長谷直美(淑玲、たぶん何皇后)、
岡本信人曹操)、三谷昇王允盧植
脚本…小川英、四十物光男
制作…久保田弘
技術…川島元
美術…荒木幹夫
効果…鈴木晶
演出…小山攻

人形劇 三国志 全集 一巻 [DVD]

人形劇 三国志 全集 一巻 [DVD]